第二次世界大戦後、パリを中心に欧州各地でアンフォルメル、アメリカで抽象表現主義という抽象の美術運動が起きました。
日本では、1956年「世界・今日の美術」展が開催され、アンフォルメルの作品がまとまって紹介され、大いに注目を浴びました。この展覧会のために来日したアンフォルメルの提唱者ミシェル・タピエは前衛美術グループ、具体美術協会(具体)の活動を高く評価しました。具体のメンバーの一人である白髪一雄は、激しいアクションを物体に定着させた創作活動に取り組み、作品名に愛読していた『水滸伝』の豪傑のあだ名を付しました。
一方、1952年に渡仏した佐藤敬は、1960年代にフランスの美術評論家ミシェル・ラゴンから「自然主義的抽象画家」と評される独自の画風を確立しています。
また、1957年に渡米した草間彌生は、幼い頃から悩まされた幻覚、幻視のイメージの再現に始まった細かな網目などの反復によって広がる作品で高い評価を得ています。
本展では、こうした多様な抽象絵画を佐藤敬、宇治山哲平、白髪一雄、草間彌生などの作品により紹介します。