大磯、鴨宮に住み2000年11月に亡くなった彫刻家、横田七郎(1906-2000)の没後3年を記念し、院展彫塑部時代の木彫作品から戦後のブロンズ作品まで約120点の作品を紹介します。遺作展として、また公立館での展示は、今回が初めてとなります。
横田七郎は昭和3年に佐藤朝山(《和気清麿》(気象庁前)、《天女像》(日本橋三越)などで知られる彫刻家)に師事。昭和初期の院展彫塑部に『めざし』などを出品、自然や小動物に向けたあたたかいまなざしに、朝山は「誰も気が付かない美」を表現していると評しました。戦後は大胆にデフォルメし、ウィットに富んだ女性像《こがらし》(昭和31年)などを発表、また仏教彫刻や抽象彫刻に作域を広げています。昭和36年の院展彫塑部解散後は、新槐樹社、日本画府、旺玄社と出品を重ね、また西相美術協会に出品。また平塚や小田原の小中高校、各種施設などへのブロンズ作品を数多く手がけています。
本展は、こうした木彫りの卓上芸術ともいうべき作品を紹介、また肌理の柔らかくウィットに富んだ人物、仏教彫刻、中国の金文を形象化した金文彫刻シリーズ、版画、ブロンズ作品のマケットなどにより、作家の静かな彫刻世界を紹介します。
なお、師、佐藤朝山及び兄弟子であった宮本理三郎の動物彫刻数点を出品、紹介し、それぞれの際だつ個性を顧みます。