「魯山人の宇宙」展では魯山人と親しく交わり、アメリカの紹介したシドニー・カドーゾ氏の収集を中心とするサンディエゴ、カワシマ・コレクションを日本発公開するとともに、魯山人と直接関係があった国内のコレクションから二百数十点に及ぶ名作を紹介する。注目すべきは、ほとんど使用された形跡のないサンディエゴ・コレクションと実際に使用された日本のコレクションの、陶芸作品における対比である。幸運にも今回体験できる、その両者の違いと連続のなかに魯山人が作品の中に込めた意味が浮き彫りにされている。
また、魯山人が愛しかつ批評したピカソ、シャガール、棟方志功、イサムノグチらの作品を加え、彼の「好み」の対象をみてもらうことによって、彼の思考や視線を体感してもらえるよう、旧居春風萬里荘を持つ笠間日動美術館ならでは、の展示を試みている。
この機会に是非、天才であるとともに、不器用な社会人だった、そして何よりも美しいことを愛した魯山人という人格を内側から体験していただきたい、と思っている。