宮廷文化の雅を象徴する和歌の世界。万葉の御代に起こり、平安期には貴族たちがさまざまな想いを託して数多くの秀歌を詠じました。「歌仙」と呼ばれた名手たちは、のちに絵姿で描かれ「歌仙絵」が誕生しました。
その画中には彼らの秀歌も施されて、和歌の情趣はさらに深まっています。中でも「歌仙」の筆頭にあたる歌聖・柿本人麿の像は特別で、元永元年(1118)に藤原顕季という人物によって歌会の守護神として祀られ、床に懸けられるようになりました。今年は“人麿影供”が創始されてより九〇〇年。これを記念し、本展では重要文化財の佐竹本三十六歌仙絵「柿本人麿」をはじめとする多彩な人麿像と関連作品を特集展示するほか、歌仙絵の優品や、歌仙の名歌を記した名筆を交えてご紹介します。