わたしたちはみな、それぞれの“たからもの”をひとつは持っているのではないでしょうか。色も形も手ざわりもちがうその人だけのたからもの。kれど、それは決して目に見えるものだけではありません。たとえば、夏休みに見た花火の美しさに感動したこと、空を見上げて鳥のように飛んでいる自分の姿を空想すること。これらの“思い”や“空想の世界”も、大切なたからものとしてわたしたちのなかにずっと残っていくのです。
そして、美術作家とは自分のなかに眠っている目に見えないたからものを、わたしたちが見て感じて共有することのできる「作品」として命を吹き込み続けている人々なのかも知れません。
本展で紹介する現代美術作家の赤崎まみさんと荒木珠奈さんは、素敵なたからものをたくさん持っています。それぞれ、写真、インスタレーション(空間作品)と表現の方法は違いますが、二人の作品に共通している大切な要素は“光”です。
鮮やかに、時に静かに光輝く幻想的な世界を作り出す赤崎さん。わたしたちの日常、お互いの絆。とても当たり前でとても大切なことをやわらかな光で照らし出す荒木さん。この展覧会を通して、かけがえのないたからものから生み出された二人の作品に出会い、そのなかにみなさんが新たなたからものを見つけてくれることを期待しています。