碧南市藤井達吉現代美術館は2008(平成20)年4月5日の市制60周年記念日にオープンし、以来10年間、沢山の方々に支えられて活動を続けてきました。そのような有形無形の支えを代表するのがコレクション充実への理解といえるでしょう。碧南市には1990年代初頭の碧南市美術品購入審議会などを経て収集され、後に美術館へ移管された作品があります。また1983(昭和58)年から1995(平成7)年には「碧南の彫刻のあるまちづくり」事業が行われました。当地には文化的土壌が早くから存在したのです。そして当館の開館後は新たな収集方針の下、碧南市にふさわしいコレクション形成に一層努めるようになりました。収集方針は「(1)藤井達吉の芸術を顕彰するのに重要と思われる作品、(2)藤井達吉の精神を見出せる作家の作品、(3)地域の歴史や文化を語る上で重要と思われる作家の作品、(4)市民の美術文化の向上に資すると思われる作品、(5)上記の作家や作品を理解する上で重要と思われる資料」からなり、収集候補作品は市民の代表者や有識者からなる美術館協議会に諮った上で収蔵されます。約1500点となったコレクションは碧南市民の貴重な財産であり、碧南市出身の美術工芸家、藤井達吉の作品や、フュウザン会出品者など藤井の同時代人の諸作品から、現代の美術までを含みます。このコレクションは2010(平成22)年度から始まった購入のほか、寄贈・寄託によって少しずつ積み上げられてきたものですが、展示室面積の制約もあり、収蔵翌年の新収蔵品展を除くと 展示機会が限られていました。そこで開館10周年を記念する本展では、集めた方のお名前を冠した収蔵品群である宮田二郎コレクション、山本牛介コレクション、内田浩子・善太郎コレクション、片山照子・繁コレクション、松本秀子コレクション、西郷健雄コレクション(碧南商工会議所より寄託)など、開館後の収蔵品を中心に全館を用いて展示します。さまざまな作品との再開をどうぞお楽しみください。