「ノスタルジア」をテーマに心の詩を描き続けた画家・竹久夢二(1884-1934)の世界をご紹介いたします。
竹久夢二は数え年で16歳までをふるさと岡山で過ごし、離れたふるさとへの想いを胸に描き続けた郷愁の画家とも称されています。その作品にはふるさとの情景、また失われゆく日本情緒、ほろびゆくものへの想いなどが表現され、現代を生きる私たちにも懐かしさを感じさせます。
特に自身の幼少期の記憶をたどるようにふるさとの風景や少年時代に遊んだ思い出は『中学世界』、『少女の友』、『少年の友』などの雑誌や『夢のふるさと』などを含む60冊近い著書などの挿絵や詩・文章に多く表現され、またデザインにもノスタルジックなモチーフを用いています。
このたび、歴史学者の磯田道史氏愛蔵の竹久夢二肉筆作品≪少年の図≫(当館寄託作品)を特別公開し、大正ロマンただよう肉筆作品を中心に、雑誌、音譜などもあわせて展観いたします。また、春の特別展示として大正、昭和初期の人々の一年を描いた六曲一双屏風≪十二ヵ月絵暦≫、桜の花びら舞う中で遊ぶ舞妓たちを描いた軸作品≪桜下五美人≫を公開いたします。