イギリスが誇る20世紀の彫刻家、ヘンリー・ムーア(1898-1986)は、「自然と人間の調和」を生涯のテーマとし、現代彫刻史に確固たる地位を築きました。ムーアの作品世界は、自然との対話、生命の尊厳、豊かな人間愛に満ちており、21世紀を生きる私たちのも普遍的なメッセージを語りかけています。
本展はイギリスのヘンリー・ムーア財団の全面的協力を得て、同財団所蔵の作品を中心に、代表的な彫刻作品と、その制作過程を明らかにするマケット(準模倣型)、さらには創作の源となった水彩、素描など、初期から最晩年に及ぶ約150作品で、ムーアの創造の核心に触れようとするものです。
なお、川村記念美術館に隣接する大日本インキ化学総合研究所敷地内には、当美術館所蔵のムーアの最晩年の大型野外彫刻《ブロンズの形態》(1985年)が設置されています。会期中は間近からご覧いただけますので、ぜひこの機会に併せてご鑑賞下さい。