「流行」という言葉を纏った衣服の消費速度は非常に早いため過度な生産による廃棄の問題が多く存在している。企業や団体がリサイクルやケミカルリサイクルの研究を行う中、本研究は文化的視点から衣服についての考察を深め新たな衣生活文化を提唱する。きもの文化は想いを込めて「繕われた衣服」として家族の日常を支えていた。補正や補強することで先祖代々受け継がれてきた布や衣服は多大な価値を保持し存在している。今日では既製服を購入し、流行遅れとなった衣服は廃棄されるか、古着屋やインターネット上で安価商品として扱われている。このような現状から、これまでに継承された衣服や布についての調査をふまえ、『継承される衣服』を制作する。主な目的は衣服を消耗品として扱うことに疑念を抱かせ、「繕う」という行為を通して後世へ受け継ぐ衣生活文化を再構築するためである。