幼少期に北海道の山奥での生活を通して、山岳信仰やアニミズムを学んだ石井誠は版画技法の石膏摺りを主に用いて、巨大な神や大地、気象変動などと、
身の回りの技術の関連性を独自に解釈した作品を発表してきました。
モノリスとは、大きな岩や、幾つかの岩の集合体などを示すものですが、映画「2001年宇宙の旅」での同名の物体は、猿へ技術を伝え、ヒトへと進化させた
装置として表現され、その後ヒトは争いを繰り返しながらも、様々な技術を生み出しました。
この映画は1969年に公開されましたが、この時代は映画に限らず、アンビルトの建築家たちにより、未来のユートピア/ディストピアにまつわる空想を
視覚化していく様々な試みが行われていました。
そして現代、空想の視覚化は現実と違わない領域にまでなりましたが、その反面、物語や歴史は1枚の画像や、数行のテキストで浅く集約され伝播しています。
未来がさらに情報過多になっていくのか、それともある日全て失われるのかは分かりません。 ただ、その時そこに鎮座しているであろう、何かを伝えるために作られた物体を、現代と地続きである未来の視覚化を試みた先人たちの思考をふまえ、示します。