相模原市民ギャラリーでは、「江成常夫 生と死の時」を開催いたします。
相模原市ゆかりの写真家・江成常夫氏は、昭和49(1974)年に毎日新聞を退社してフリーの写真家として独立した後、一貫して「昭和の負の歴史」をテーマとし、戦争花嫁や敗戦時に中国に取り残された戦争孤児、広島・長崎の原爆の爪痕などを記録し、多くの人の生と死に向き合ってきました。それらの作品に映し出されている「生と死」には、他人事ではない、心に迫るものがあります。
江成氏は、平成12(2000)年、右腋下にできた拳大の腫瘍ががんであると診断されました。手術は成功したものの、再発を抑えるための抗がん剤や放射線治療などの副作用により、長く苦しい闘病生活が始まります。
江成氏は、病と闘いながらも精力的な制作活動を続ける一方、平成12(2000)年には「九州産業大学フォトコンテスト―上野彦馬賞」を、平成13(2001)年には「フォトシティさがみはら」を立ち上げるなど、日本の写真界に貢献する活動を行っています。また、それらの活動が評価され、平成14(2002)年に紫綬褒章、平成22(2010)年には旭日小綬章を受章しました。
「生と死の時」は、江成氏ががんを発症後、病と闘う自分自身の姿と、四季の草花や山河といった、ふるさと相模原の風景を写した作品です。死の淵から立ち返った写真家が、日々の暮らしの中で生と死をみつめた約3年の記録を、ぜひ御鑑賞ください。