栃木県那須烏山市在住の瀧田項一(1927~)の陶業を紹介する展覧会を、益子陶芸美術館で10年ぶりに開催します。東京美術学校で出会った陶芸家・富本憲吉の紹介で益子の濱田庄司に入門した瀧田は、約3年間の修業を経て福島県会津で独立、以来磁器の制作を追究し続けています。修業時代に日本民藝館で出合った李朝白磁に始まり、中国、朝鮮半島から西アジアまで各地で触れた古今の陶工の仕事を吸収しながら、今日まで自身の造形と文様を深化させてきました。本展では、初期の会津時代から、烏山を拠点に作家として円熟した1980年代以降、卒寿を迎えた現在まで、個人コレクションを中心に約60点を厳選して展示します。瀧田はさまざまな動植物を主題に色絵を手がけていますが、今回は特に代表的な文様に焦点を当て、その起源や込められた思いを辿ります。同時に、ライフワークである白磁の釉調とフォルムの展開を見つめます。およそ70年にわたる陶業の精華をお楽しみください。