1905年、石川県に生まれた寺島貞志(てらしまていし)は、昭和20年妻の実家があった岩手県花巻市に疎開してきます。戦前には大正末期に結成された急進的グループ「造型」に参加。その後、パリ、モスクワで絵を学び、社会主義リアリズムの画家として活動します。
戦後も中央での活動を嘱望されますが花巻にとどまり、自然と向き合いながら岩手の牧歌的な自然を題材に、ある時は力強く、またある時はリズミカルな筆触でいきいきと農村風景を描きだしていきます。1983(昭和58)年77歳で亡くなるまで、岩手の風土に根差した表現者として歩んだ寺島ですが、本展は2012(平成24)年に開催した戦前の活動に焦点をあてた「寺島貞志―青春のリアリズム―展」に次ぐ、戦後の活動を紹介する展覧会です。約90点の作品で寺島貞志の後半生をたどります。