トルコ共和国は、黒海と地中海に挟まれたアジア大陸の最西端に位置するアナトリア半島と、ヨーロッパ大陸との接点となる古都イスタンブールのあるマルマラ海沿岸地方から成り立っています。アジアとヨーロッパを繋ぐ要衝の地であるため、古くから多くの民族国家の興亡が繰り広げられ、様々な文明や文化が交錯しました。
アナトリア高原に見られる新石器時代の農耕・牧畜文化、アッシリアの商人の活動がもたらした文字文化、鉄器時代を築いたヒッタイト、交易による富から世界最初の貨幣を鋳造したリディア王国。アナトリアの地中海沿岸地方を中心としたギリシャ文化の成熟、ペルシャの支配に対するマケドニアのアレクサンドロス大王による遠征とへレニズム時代。ローマ帝国の属州時代とさらに1千年以上に及ぶキリスト教国家ビザンティン。それに続く、セルジュク、オスマンのイスラム教国家。世界史において、これほど多彩で複雑な文化・文明の変遷が見られる地域はないといえましょう。その7000年にわたる歴史を、イスタンブールにあるサドベルク・ハヌム美術館所蔵の621点の作品によってご紹介いたします。
2003年は「日本におけるトルコ年」にあたります。今展観開催がトルコ共和国に受け継がれてきた文化へのより深い理解につながれば幸いです。