アール・ヌーヴォーとは、19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで開花した、花や植物を主題にした曲線を用いて装飾性豊かに表現をする芸術様式です。
アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)は、このアール・ヌーヴォーを代表する画家、デザイナーとして広く知られています。現在のチェコ共和国で生まれ、27歳でパリに渡ったのち、舞台女優サラ・ベルナールから依頼を受けて作成したポスター《ジスモンダ》の成功をきっかけに一躍時代の寵児となりました。その後、サラの芝居のポスターのほか、菓子、香水、酒、煙草などの広告ポスターや装飾パネル、さらに豪華本の挿絵など数多くの作品を制作し、「ミュシャ様式」と呼ばれる女性の髪や衣服が描く流麗な曲線や花や植物を主題にした構図は、今でも根強い人気を誇っています。
本展ではポスター作品や装飾パネルに加え、祖国チェコへ戻りスラヴ独特の象徴的表現で制作した作品、デザイン集、雑誌、はがき、当時販売された商品のパヴージなど約400点を展示し、ミュシャが世界的名声を得た原点である、デザイナーとしての業績を中心に紹介します。