戦前より耕地整理・区画整理が実施されていた芦屋市では、住宅都市における農地改革という特殊な一面がありました。それは、農民の自作農的発展を育てようとする立場の農地改革法と、計画的都市発展を助成しようとする都市計画法との対立として捉えられていました。
このような改革の中、農業に関連する機械の進捗をはじめとする近代農法の発展によって、肉体を酷使して天災などの被害に弱い従前の生産方法から脱却した機械化農業によってその生産量を飛躍的に伸ばすことになりました。
しかし、こうした農業の機械化は、それに従事する農民の労苦を軽減した反面、先人の農民たちが工夫をこらして製作した農機具を農家から消し去っていきました。
今回の展示では、2001年3月に市内岩園町在住の古塚豊一氏から、当館に寄贈を受けた農具50点を初公開し、芦屋の農村風景の復元とともに先人の知恵と工夫を理解したく思います。