日本近代彫刻の先駆・荻原守衛(碌山 1879-1910)が師と仰いだオーギュスト・ロダン(1840-1917)の没後100年にあたり、高村光太郎編訳『ロダンの言葉』(1916年刊)、『続ロダンの言葉』(1920年刊)を紹介する企画展を開催いたします。
書籍『ロダンの言葉』は、ロダンに関するさまざまな外国語文献を高村が翻訳・編集したものです。通常ありがちな芸術家の伝記ではなく、ロダンが芸術について話した言葉を集めたもので、意味深い名言にあふれています。「地上はすべて美しい 汝等はすべて美しい」「宗教なしには、芸術なしには、自然に対する愛なしには―此の三つの言葉は私にとって同意味であるが―人間は退屈で死ぬだらう」「彫刻に独創はいらない。生命がいる」等々。これらは、芸術の真髄を言い得た金言であり、読む者の心をふるわせずにはおきません。『ロダンの言葉』を読んで、その感動から彫刻を志した者も少なくなかったといいます。刊行以来100年の月日を経ても今なお、芸術を見る者、考える者にとって、味わい深く、示唆に富む、大変魅力的な著作です。これを機に、一人でも多くの方が、ロダンの芸術観にふれるとともに、芸術とりわけ彫刻への理解を深めていただくことを願って企画展を開催いたします。