フランスの画壇では、19世紀に至るまで風土は、主に神話や逸話の背景として描かれていました。しかし、1830年から70年にかけて、オランダやイギリスの風景画の影響を受けた画家たちが、戸外で自然や農村風景を主題として直接観察して描きはじめます。彼らは、パリ郊外の村バルビゾンを拠点に活動したところから、後にバルビゾン派と呼ばれました。その中には、コローやルソー、ディアズ、ドービニー、ミレー、トロワイヨン、デュプレ、ジャックなどがいます。1860年以降になると、鉄道の発達にともない、シスレーやモネなどの若い画家たちがフランス各地を訪れ、バルビゾン派の影響を受けながらも、海景や近代化した都市の情景をスケッチしました。彼らは、実際に見た瞬間の印象をどのように表現するかということを意識して制作し、当時から印象派と呼ばれました。
本展では、こうした19世紀に展開されたバルビゾン派から印象派への流れを、ボルティモア美術館所蔵品約100点によりご紹介します。