本展では、新作シリーズ"vision | noisiv" 20点を発表いたします。前作"みることについての展開図" (2014)では対象へ向かう視線を分解し、平面上に再構成することによって「みる」という行為を改めて考察しました。前作からの流れを汲む本シリーズでは、ある風景と別の風景を印画紙上に重ねることで、現実には存在しない空間を作り出します。 noisivとは「vision=視覚、像」を反転させた造語です。本作において、春木は二つの場所を被写体として選択しました。一つはアイルランドの街並や自然風景、もう一つは東京にある宇宙ミュージアム『TenQ』の展示風景です。二つの場所は画面上の操作によって分断されながらも重なり合い、互いを反射しているようです。
また本展の開催に合わせ、赤々舎より新作写真集『_etc.』が出版されます。あるがままの「像=vision」と見たいものを眼差す私たちの「視覚=vision」は一致することなく、相互に反射する関係にあると言えるでしょう。見ることの反射を巡る作家の新しい試みをぜひご覧ください。