兵庫陶芸美術館は、財団法人兵庫県陶芸館から寄贈を受けた、兵庫県内のやきものを中心とした、901件の「田中寛コレクション」を母体として始まりました。その後、県内産を中心とした古陶磁から世界各国の現代陶芸まで幅広く収集し、現在では収蔵品は、2,126件を数えるまでになりました。
収蔵コレクションをみると、当館が位置する丹波焼(篠山市)はもちろんのこと、近年は兵庫県南部の「瀬戸内」や「淡路」で作られたやきものも充実してきました。この地域では、近世後期には、舞子焼(神戸市)や明石焼(明石市)、東山焼(姫路市)、珉平焼(南あわじ市)などの窯場が誕生し、個性溢れるさまざまなやきものが作られました。
また、近代になると、やきもの作りは明治政府の殖産興業の一環として位置付けられ、神陶会社(神戸市)、永世舎(姫路市)、淡陶社(南あわじ市)などで、華やかな色絵磁器を中心として、海外向けのやきものも製作されました。さらには、内国勧業博覧会へ意欲的に出品し、高い評価を得た赤穂焼(赤穂市)なども知られています。
本展では、瀬戸内・淡路の各地で作られた、江戸時代後期から大正時代にかけてのやきものを、多数の新収蔵のコレクションを中心に約100件紹介します。国内はもとより、海外へも羽ばたいた兵庫のやきものをお楽しみ下さい。