生涯にわたり、人物を主題とした作品を、その制作活動の中心に据えていた宮本三郎(1905-1974)。「身体」の表現に注目した前期の展示(~7月23日迄)に引き続き、本展ではそのひとの印象を少なからず左右するといえる、「顔」や「表情」に焦点を当てます。
家族や近しい人物をはじめ、プロのモデル、異国の地で出会ったひと、はたまた華やかな舞台で活躍する歌手や女優、ダンサーまで、さまざまな人物を作品に登場させた宮本が描く、それぞれの顔。意思を語る眼差し、思わせぶりな目線や、場面に物語を添えるような表情。そして、自らにとって最も身近であるはずの存在を描いた、自画像。雑誌の表紙を飾る人物画や、対峙するモデルとの距離感がより密に感じられる素描作品も、魅力的です。
展示室に並ぶ、それぞれの「顔」を入り口として、生涯を通じて多様なスタイルや表現方法を模索し探求し続けた洋画家・宮本三郎の、彩り豊かな作品世界をお楽しみください。