今年は、郷土ゆかりの物故作家・貝原浩(1947-2005 倉敷市生まれ)の生誕70年、永岡博(1937-2007 岡山市生まれ)の生誕80年にあたります。
貝原浩は東京藝術大学工芸科図案計画専攻ビジュアルデザイン卒業後、さまざまな地域を旅して風景や人物を描くほか、挿絵や本の装丁を多く手掛けています。一方、永岡博は、岡山大学教育学部特設美術科卒業後、倉敷市立琴浦中学校などで美術教師を続けながら、岡山を中心に活動し、銅版画の制作を行いました。
このたびの展覧会では、貝原は代表作、チェルノブイリ・スケッチ絵巻『風しもの村』、世界各地を旅して生まれた鉛筆画集『FAR WEST』を中心に、初期油彩画や舞台装置などを含む約80点を、また、永岡は初期のシュールレアリスム的な作品や、抽象を経て写真をもとにしたフォトエッチングの技法に展開する多彩な作品約70点を展示します。
貝原と永岡は、さまざまに変化する社会の状況を見据えながら、そこで生き抜く人間の姿や心のありようをそれぞれの作風で表現しようとしました。その特異な作品群によって、郷土画壇において大きな足跡を残す二人の“ヒロシ”の世界を紹介します。