第一次世界大戦が終結するとパリは芸術の都として再び華やかな季節を迎えます。世界中から多くの芸術家が集まり、特に活躍華々しかった画家たちは、エコール・ド・パリと称されました。日本からも多くの若い画家がパリに憧れ渡仏しています。「1930年協会」は1920年代前半をパリで過ごした画家、木下孝則、小島善太郎、里見勝蔵、佐伯祐三、前田寛治により新しい作品発表の場として、帰国後に結成されたグループです。わずか5人で始めた同協会は、またたく間に 400名が集う勢力へと成長しました。
しかし、創立メンバーの木下、佐伯の再渡仏と佐伯の客死、里見の離脱、更に前田の死によって、足並みを乱した1930年協会は画壇再編の渦にのみ込まれていきます。ついには名称の由来となった1930年に、創立メンバーの小島善太郎を含む気鋭の洋画家14名による新たな美術団体が誕生したことで、その活動に終止符が打たれました。その美術団体の名称は「独立美術協会」。既存の美術団体との絶縁、新時代の美術の確立を高らかに謳いあげ、画壇を牽引していくことになります。
本展覧会をとおして、昭和初期の画壇に新風を吹き込み新しい時代の幕を開いた若き画家たちの情熱を感じ、お楽しみいただければと思います。