日本の洋画界は、長く西欧の模倣と摂取を繰り返してきましたが、大正期末から昭和初期になると洋画界の一部に、日本の風土、文化を意識した動きがみられるようになりました。
その代表的な洋画家の一人、藤島武二は、1928年、宮中を飾る油彩画制作の委嘱を受け、主題を「旭日」に定めて、9年余の年月をかけ、全国各地を巡り、日本の原風景を探し求め、「単純化」「装飾化」した独自の「風景画」を確立しました。
また、官展の審査員などを務めた片多徳郎も日本画(特に南画)の手法を取り入れながら、日本的洋画を模索し続けました。
本展では、藤島武二の代表作の一つ《大洗海岸》をはじめ、片多徳郎の大正期末から昭和初期の風景画、および片多以降の大分県出身洋画家たちの作品を紹介します。