国土のほとんどを森林が占めている日本では、古くから自然の中に様々な神が宿ると考えられてきたため、それらに対して畏敬の念を強く抱いてきました。人々は自然を信仰の対象として、あるいは生命の源として、さらには地域の象徴として認識し、千変万化するその情景を絵画のモチーフとしてだけでなく、和歌や短歌の中でも取り上げてきました。また、江戸時代になると人気浮世絵師の歌川広重が浮世絵版画で各地の名所を紹介したため、その魅力が一気に庶民へと伝えられました。中でも富士山は日本を代表する名所の一つであり、日本の象徴や信仰の拠点ともされ、多くの人々の心の拠り所となっています。
本展覧会では、世界文化遺産に登録された富士山を中心に、日本各地の名所が描かれた作品約40点をご紹介致します。日本三名瀑の一つともされている那智の滝や浜松市内の名所ともされている龍潭寺や中田島砂丘などの大作もあわせてご紹介致します。
是非この機会に、抒情的に描かれた日本の風景や情景をご覧いただき、日本各地の魅力を再認識していただければ幸いです。