狭山市立博物館では、平成3年開館以来、さまざまな企画展を開催してまいりました。これら企画展を中心にした博物館の研究成果をみなさんにご覧いただくために、大きな役割を果たしているものがチラシ、パンフレット、ポスターなどの広報媒体です。
特にポスターは、印刷速度の短縮化により大量印刷が可能となり、さらに多色刷やいろいろな印刷技法の多様化により、画面にさまざまな芸術的効果をとり入れることができるようになりました。
今回の企画展では、川崎市民ミュージアムのご協力をいただき、その所蔵資料から私たちに身近な広報媒体であるポスターの絵画性に注目し、その芸術性・造形性・創造性を探ってみたいと思います。特に印刷技術の発展とともにさまざまな芸術思潮が混在し、その絵画性が発揮された20世紀前半の作品を取り上げ、その流れを概観していきたいと考えます。
平成13年度には当館開館10周年企画展として、「写真による20世紀」と題し、写真という写実性と客観性の高い記録媒体により、時代の報道と社会事象を取り上げ、ご好評をいただきましたが、今回はポスターという主観性を伴う芸術作品から、20世紀の時代とその社会状況を概観し、再び20世紀を振り返ってみたいと考えています。