明誉古磵(めいよこかん)(1653~1717)は江戸時代前半に活躍した浄土宗僧侶(じょうどしゅうそうりょ)です。江戸や京都、奈良で絵画制作を行う画僧でもありました。現存作例には、絹本に描かれた本格的な著色仏画や社寺縁起絵巻、水墨技法を用いた俳画を想起させる簡略な筆致の作例、さらには仏教説話版本の挿図や木版画があり幅広い画風が注目されます。このたび没後300年にあたる平成29年に、多岐にわたる画業を紹介する特別展を開催いたします。古磵は『古画備考(こがびこう)』や『和漢名画苑(わかんめいがえん)』に掲載される、当時の有名な画僧ですが、現在その名を知る人は多くありません。彼は、琳派の大成者である尾形光琳(おがたこうりん)(1658~1716)と同時代を生きており、この機会に画僧古磵の多彩な画技とその魅力を味わっていただければ幸いです。古磵の主要作品が一堂に会する、初めての展覧会となります。なお、本特別展は、古磵作品を最も多く所蔵する法相宗大本山薬師寺(ほっそうしゅうだいほんざんやくしじ)の御協力を頂き、主要な所蔵作品が出陳されます。