ダニエル・リベスキンドは1946年ポーランド生まれ。イスラエルで音楽を学び、その後アメリカ、イギリスの大学で建築を学びました。1970年代末より、旧来の建築や歴史観への批評精神に富んだ、革新的なドゥローイングや都市計画案を、次々と発表しました。その後欧米各地の大学で教鞭をとり,ディコンストラクティヴィズム建築の代表的存在とされましたが、そのコンセプトの斬新さゆえに、実際の建築としては作品はほとんど実現されませんでした。
しかし1999年に完成し、昨年秋に開館したベルリン・ユダヤ博物館は、彼の建築コンセプトが結実した実作品として注目を集め、また2001年の北帝国戦争博物館の完成などをもって、現代を代表する建築家としてのゆるぎない評価をえました。さらに本年、広島市主催による、人類の平和に貢献した現代芸術家を顕彰する第5回ヒロシマ賞を受賞し、またニューヨークのワールド・トレード・センターの、再建計画の最終候補の一人にも選ばれています。
本展は、ヒロシマ賞受賞を記念して本年10月まで、広島市現代美術館で開催された彼の個展の、東京展です。彼が近年設計した、4つの建築の巨大なモデルとドゥローイングによって構成された、壮大なインスタレーションが展示されます。
ICC全館を使った新たな空間によって、彼の建築思想をあますことなく体験できる展覧会となります。