写真家、田沼武能(たぬま・たけよし、1929生)は東京・浅草の生まれ。東京写真工業専門学校卒業後、木村伊兵衛に師事。戦後、東京、下町に生きる子供たちのたくましさと明るさを活写しました。これに端を発し、世界中の子供達の姿を撮影した『すばらしい子供たち』(1975年)『遊べ子供たち』(1978年)でモービル児童文化賞、菊池寛賞などを受賞。110カ国以上を回って子供たちの姿、表情を撮影する写真家として広く知られています。こうした功労により、1995年には日本写真家協会会長(~2015年)に就任。2003年には文化功労者に選ばれてます。そうした活動の一方で、『芸術新潮』の「芸術院会員の表情」やタイムライフ社などの仕事をする中で、昭和の文壇、文化・芸術を担った著名人たちの“貌”を長年に亘り撮りつづけてきました。「人間大好き人間」を標榜する田沼がとらえた人々の表情には、被写体をえぐり出す鋭さとともに、温かで豊かな想いが投影されています。本展は、三島由紀夫や森光子、小澤征爾など時代を代表する文化人、著名人らのポートレートに加え、野見山暁治、奥田元宋など練馬ゆかりの美術家たち、80点の肖像写真で構成する展覧会です。なお、この展覧会は練馬区立石神井公園ふるさと文化館分室との同時開催となります。