透明性と可塑性、儚さと強靭さをあわせ持ち、さまざまな表情を見せるガラスは、古代より人間の憧れを表現してきました。今年度の「能登島ガラスコレクション展」では、ガラスの最大の特性である「透明性」とガラス独特の「色」、多種多様な形や装飾を可能にする「技法」、ガラスの輝きを引き出す「光」の関係性に着目してガラス素材の性質とその魅力を紹介し、当館コレクションを展観します。
ガラスといえばまず無色透明のものを思い浮かべるのではないのでしょうか。無色透明のガラスは可視光線のほぼ全てを透過します。また、可視光線の一部しか通さないものは透明ですが、色づいて見えます。一方で、あえて光の透過や屈折を否定した乳白ガラスを下地として色づけたガラスも存在します。そして、温度変化によって形を変え、かつ比較的柔らかいというその性質ゆえに、ガラスには数多くの技法が存在し、それによってガラスの造形表現も非常に多彩なものになっています。
この技法もまた、ガラスの魅力を引き出す見どころであると言えます。これらの要素が重なり合って生まれたガラス造形の不思議な魅力と美を、どうぞご堪能ください。