作家のことば
私が版画をはじめたのは、大学2年生の時です。大学は油絵科に入学したものの、油絵はあまり合っていなかったようでした。版画の技法を一通り学んだあと、水性木版画に専念しはじめました。
水性木版をはじめた頃は特に、思ったとおりに摺ることができませんでした。それでも先生の作品の摺りに憧れて、たくさん練習しました。受賞作は、薄い色の均一なつぶし摺り、それとは対照的な水分の多い摺りといった異なる摺りを重ねて柔らかい色調の中に厚みを出すなど、様々な技術からなっています。
なんとなく肩の力が抜けたのか、いまは以前好んだような硬質な摺りではなく、もっと柔らかい摺りを多く取り入れるようになりました。たった1年とはいえ、思いがけない変化です。
きっとこれから先も、やりたいことやできることは変わっていくと思います。どんな時も頑なにならず、制作を続けていくことがわたしの夢です。木版画大賞受賞をその励みにしてまいります。この度は、誠にありがとうございました。