日本では江戸時代初期から肥前有田で、中国の青花を模して白地に青色の図柄を描いた染付磁器が作られ始めました。近接する伊万里港より出荷されたことから伊万里焼と呼ばれたそのうつわたちは、全国各地へ流通し人気を博しました。そして江戸時代後期、料理文化の隆盛に伴い大皿が数多く生産されるようになります。これらの大皿には日本人好みの吉祥文や流行を取り入れた様々な絵付が施され、日本各地の「ハレ」の席を華やかに彩りました。
本展覧会ではこうした直径40cm を超える江戸時代後期の大皿約140 点を一挙に展示し、その美に迫ります。皿の枠からはみ出さんばかりに跳ねる鯉、狂いなく描きこまれた網目文、鯛を掲げて小躍りをする恵比寿様、大きく羽を広げ堂々たる趣の鶴や鷹。大皿をキャンバスに展開された粋な図柄、斬新な構図や大胆でいて精緻な絵付は、見る者をきっと夢中にさせることでしょう。染付の美しさ、そして江戸職人たちの美意識を伝える伊万里染付大皿の魅力を、秘蔵コレクションから厳選した作品を通してたっぷりとご紹介いたします。