私たちは、すべてのものやことをお金と交換する消費社会のシステムの中で生きている。アーチストもアートの作品も、他のものごとと同じようにその仕組みの中で動いている。例えばアーチストとして存在すること、制作という行為、発表や流通の形態、美術作品の受容の過程、作品が所有されることの意味や公開の方法など、あらゆる段階においてアートは社会とかかわっている。
この展覧会は、社会のシステムの中に位置づけられるアートのあり方を、様々なアートのプロセスを通して捉える意図で、市場経済とアートとの関連をテーマにとりあげる。ただし、市場経済にアートが組み込まれていくことを単に批判するというものではない。また、ここに参加したアーチストたちは、とりわけそれに抵抗したり、あるいは逆に熱烈に取り組んだり(セールス)しているというわけでもない。そんな彼らの作品を通して、社会のシステムとアートの関係を見つめ、解読しよう、そしてアートと消費社会の関係を探り、本来、他のものとは交換できないアートの特殊な意義について考えてみようというものである。