浅野弥衛(あさの やえ、1914-1996)は三重県鈴鹿市で終生創作活動を行い、名古屋を発表の拠点とした画家です。豊田市美術館では、2007年に浅野弥衛を特集展示したことをきっかけに、初期から晩年まで22点の寄贈を受け、さらに寄託作品も多く有しています。
浅野の主な作品は、白黒の線や点、幾何学的な図柄や模様を用いた抽象絵画ですが一見硬質な印象の画面に深みや温かみをもたらしているのは、手わざの痕跡としての描線です。今回は所蔵及び寄託のすべての浅野弥衛作品とともに、生前使用したスケッチブックや画材類などを展示します。限られた色彩のなかに潜む、画家が残した線や点の息遣いをじっくりと味わってください。