平成14年11月に開館20周年を迎える東京都八王子市にある村内美術館は、世界要数のバルビゾン派の絵画コレクションで知られ、私設の美術館でありながら、美術史教育をふまえた系統的な収集は、芸術的、学術的にも高い評価を得ています。
バルビゾン派とは19世紀半ば、パリの南東、フォンテーヌブローの森のはずれのバルビゾン村に集まったフランスの風景画家のグループで、なにげない風景の一断片を描き、風景画において革新的な役割を果たしました。自然の微妙な変化への関心は、後の印象派に大きな影響を与えます。
本展は、村内美術館の所蔵作品から、ミレー、コローをはじめテオドール・ルソー、デュプレ、ドービニーなどコレクションの中心をなすバルビゾン派の作品に加え、当時主流をなしていたアカデミズムの画家であるブグローや、ファンタン・ラトゥールといった個性的な画家の作品、さらにルノワール、ピサロら印象派の作品など、19世紀半ばから後半にかけてのフランス美術の名品70点を紹介するものです。
ロマンティックな精神による自然観察を背景とした絵画群は、情感豊かで親しみやすく、深い感銘を与えてくれることでしょう。