沖縄で祖母が洋裁店、父方の祖母も呉服店を営み、幼いころから「糸」に縁が深かった。大学在学中から服飾関係に興味を持ち、卒業後は上京し、「どんな形にもなり得る」点に魅力を感じてニットを勉強する。アパレルメーカーに就職したが、やがて大量生産の商品に違和感をおぼえるように。勤務しながら、都内の個人工房に通いガラスを勉強。やがて「ガラス作家になりたい」との思いが募り、富山ガラス造形研究所に進学する。ガラスの糸があったらいいのに、と探し始めて見つけたのがガラス繊維「グラスファイバー」だった。細いガラス繊維を束ねたり、かぎ針で編んだりする作業がなじみ深く、糸が持つ柔らかな質感や、編み物の温かさ、心地よさをガラスで表現した作品を編み出していく。ガラス特有の表情豊かな輝きが共存した独特の世界感が特徴。国内外でも例を見ないオリジナルアートとして今、注目を集めている。「誰もやったことがないことをしたかったんです。自分で考え、自分で研究して自分にしか作れないものを生み出すことに、やりがいと達成感を感じる」という。来年度はドイツの美術館で作品発表予定。