ともに浜松市の出身で、人物画によって自らの絵画表現を追求する2人の若手画家、山田優アントニ(やまだ ゆう アントニ、浜北区出身、1987-)と川島優(かわしま ゆう、天竜区出身、1988-)の制作を紹介します。
山田優アントニは、浜松学芸高等学校芸術科、愛知県立芸術大学・大学院の美術研究科油画専攻で学び、現在は浜松市を拠点に創作活動に取り組んでいます。祖父の代より続く肖像画家の家庭に生まれた山田は、幼い頃より繰り返し描き続けてきた人の顔をモチーフに、自身の記憶・経験・感情を擬人化した人物像を作り上げます。日々の記憶をたよりに画面上で徐々に形作られる人物は、深奥を見つめる眼差しに様々な意思が込められ、向き合った鑑賞者と語らい、意識に深く訴えかけてきます。
川島優は、浜松学芸高等学校芸術科、愛知県立芸術大学・大学院の美術研究科日本画専攻で学び、現在は同大学院の博士後期課程に在籍しています。自然豊かな天竜の地で幼少期を過ごしましたが、制作においては無機質な都会的空間に着目し、繊細に描写された女性像をモノクロームな空間へ構成した現代的な作風を展開しています。川島の描く人物は自身の内なる感情を託した姿として描き出され、観る者の内面に共鳴しながら作品の世界観へ強く惹き込んでいきます。
本展では、新作を含む作品45点により、若くして優れた才能を発揮する地元出身の両画家が、人物描写によって形づくる現代の絵画表現に迫ります。また、天竜二俣の出身で、絵画表現の新たな可能性を追い求め、人物群像やインドに生きる人々などを描いて高い評価を得た秋野不矩の作品8点を特別出品します。
秋野不矩の故郷で育ち、秋野不矩も取り組んだ人物表現で精力的に作品制作へ挑む2人の新進気鋭画家が、自身の感情をもって人々の感性に訴えかける表現の成果をご覧ください。