山本容子は京都市立芸術大学時代に銅版と出合い、その魅力にとりつかれて創作を続けてきました。その中にはシェイクスピアやゲーテの文学、音楽や詩から想を得た、遊び心に満ちた版画作品もあります。また、銅版画の制作を軸にしながら、ブック・デザインや木のオブジェ、壁画制作や和紙を使った造形物―茶室《浮庵》と電気自動車《螢》の制作、さらに殺風景な工事現場をアートで包み華やいだ都市景観を生みだすパブリック・アートにと、彼女の創造の世界はますます広がって行きます。初期の版画やポートフォリオ(版画集)から立体や大型の作品、約400点がちりばめられた展示室は、あたかも遊園地のように、無限の夢を与えてくれる楽しい空間になることでしょう。