新作名刀展は本年で六十二回目を迎え、文字通り伝統と格式を備える充実した展覧会として、本協会の主たる事業となっています。さらに昨年からは高松宮記念賞も再開され、展覧会の重みは年々増しています。
その結果、本年は作刀・彫金の部のみならず、長らく特賞の出ていなかった刀身彫の部においても、特賞が産み出されました。これもひとえに、本展覧会の格式と、その格式を信頼し日々の制作活動に勤しんできた各作家の努力の賜と申せましょう。
その成果を発表するため、これまでも刀剣博物館、山形県の致道博物館、埼玉県の川越市立博物館での巡回展示を行って参りました。加えて本年は岐阜県の関鍛冶伝承館での展示が決まり、本展覧会が持つ重要性は日本各地に発信されていくこととなりました。
日本の伝統文化の粋である日本刀の「くろがねの美」を、是非間近で心ゆくまでご堪能ください。最後になりますが、「新作名刀展」開催に当たりご協力くださいました関係各位に、衷心より厚く御礼申し上げます。
平成二十八年六月吉日
公益財団法人日本美術刀剣保存協会