大正期にフランスへ渡って西洋の絵画を学んだ画家たち、前田寛治、佐伯祐三、里見勝蔵、木下孝則、小島善太郎の5名によって、留学の成果を発表すべく1926(大正15)年に1930年協会は結成されました。間もなく公募展を主宰し、研究所を開設するなどの活動を展開すると、急速に若い画家たちの支持を集め、新しい洋画の表現を切り拓く意欲的で斬新な作品が発表される場となり、洋画界に旋風を起こしました。
しかし、佐伯がパリで客死し、前田も病床に臥せるようになり、木下が再び渡欧するといった出来事が重なり、奇しくもその名に冠していた1930(昭和5)年に組織は消滅してしまいます。短い期間で終止符が打たれた1930年協会ですが、その存在は日本の近代美術史上に忘れがたいものとなり、その運動の発展した独立美術協会は以後も大きな影響力をもって洋画界を牽引し続けました。
1930年協会の結成から90年を迎えることを機に、一時代を築いた洋画家たちの秀作を一堂に展観します。