雪舟が、くる。
秀吉が、くる。
探幽が、くる。
北陸の地には、名高い曹洞禅の寺院が多くあります。鎌倉時代に道元禅師によって創建された大本山永平寺(福井県永平寺町)は、禅の修行道場として770年もの長い歴史を刻み、今日まで法統を伝え続けています。永平寺創建から80年後、道元四世の法孫である瑩山紹瑾 (けいざんじょうきん) 禅師によって、大本山總持寺(石川県輪島市門前町)が開かれ、全国に展開して今日の曹洞宗の礎が築かれました。明治44年(1911)、大本山總持寺は火災を機に神奈川県横浜市鶴見に移転再建され、その後、輪島の寺院は總持寺祖院と改称されました。
そして、富山県高岡市にある瑞龍寺は、江戸時代に、加賀藩二代藩主・前田利長の菩提寺として、三代藩主・前田利常が建立した曹洞宗の名刹です。400年余の歴史を持つ瑞龍寺は、禅様式の粋をこらした豪壮雄大な建築を誇り、平成9年(1997)には仏殿、法堂、山門が国宝に指定されたほか、利常が寄進した禅宗絵画、狩野派三代の絵画、工芸品などが多数伝えられています。
この展覧会では、瑞龍寺に凝縮された文化財の粋とともに、大本山永平寺と大本山總持寺祖院の寺宝をあわせ、北陸ゆかりの禅宗寺院の名刹に伝わる名品の数々を紹介します。禅のこころに触れる貴重な機会となるでしょう。ぜひご鑑賞ください。