板橋区からのアートの発信を目指した「発信//板橋」。3回目を数える今回のテーマは「江戸-現代」です。板橋という地は江戸の北に位置し、中山道の第1番目の宿場町として栄えました。かつてないほどの安定した政治体制の下、江戸時代の美術は、250年の長きに渡り多彩な展開を見せました。
絵画においては、安土桃山時代に引き続き都市風俗図が流行し、江戸狩野派が新たな様式を確立し、琳派が花開くなど、数多くの画派が時代を彩りました。彫刻においては社寺の装飾彫刻が隆盛を極め、禅寺を中心に作庭された枯山水もその表現の幅を広げました。洗練された意匠を高い技術で表現した蒔絵や、精緻な彫刻をほどこした手のひらに収まる根付の発展も、その文化の高さを物語っています。それまでの時代を踏まえより表現の幅を広く深くした江戸時代の美術。その飽くなき追求は、優れたものを生む大切な「源泉」ではないかと思います。
21世紀の現代において、(美術を含め)多くの情報はインターネットなどを介してすぐさま世界中で共有されます。あらゆるものは同一性に収斂されてしまいそうですが、豊かな「源泉」をもつ日本の美術は、これからも更に重要な存在になるだろうと思います。江戸時代には日本人の感性の「源泉」が数多く点在しています。この企画は、その研ぎ澄まされたエッセンスに通じる、3名の平面作家と4名の立体作家で構成された展覧会です。