明治時代の南画家・野口小蘋 (しょうひん) や、大正時代に女性初の二科会会友となった埴原 (はにはら) 久和代、戦後に県内の女性画家たちを牽引した佐野智子、新しいジャンルでは『エースをねらえ!』のマンガ家・山本鈴美香など、山梨県にゆかりのある様々な女性アーティストたちが県内外で活動をしてきました。
制作活動で身を立てることが極めて難しかった戦前の女性たち、男女平等が謳われ、家庭の切り盛りをしながら社会進出に挑戦し制作を続けた戦後の女性たち、生き方が多様化するなか時代に適した表現を模索する現代の女性たちなど、女性アーティストの歴史は時代背景や社会通念とも深い関係があります。
本展では、山梨県にゆかりのある明治から現代に至るまでの約30名の女性アーティストたちに焦点を当てます。油彩や日本画など既に確立したジャンルの他にも、インスタレーション、マンガ、デザインといった近年重要視されるようになった表現による作品も展示します。山梨県立美術館では、30数年にわたる歩みのなかで、郷土の芸術家たちを多数紹介してきましたが、女性アーティストたちの歴史と作品をテーマにした展覧会は初の開催となります。パワーと個性に満ちた約80点の作品をお楽しみください。