パトリック・ジェロラ(1959年 ブリュッセル生まれ)は、画家である母の影響を強く受け幼少より芸術的な環境の中で育った。ブリュッセル王立美術アカデミーで学んだ後、1981年から「モダンバレエの魔術師」モーリス・ベジャール主宰の舞踊学校にて振付・芸術監督を務めるミシャ・ヴァン・ウック率いる「ムードラ」で舞台美術を手がけた。その後、1983年に初めて来日し、メルシャン軽井沢美術館や沼津御用邸などでの展示会を開催、大きな成功を収めた。
ジェロラの表現方法のひとつである「アル・フレスコ」は純粋な顔料に少量の樹脂を混ぜるなどをして自分で作った絵具を使用して作品を描くが、このことによって絵画に一段と透明感と明るさがもたらされる。その作品には、ヨーロッパとアジアからインスピレーションを得て作家自身の寛大さと感受性が反映されている。また、彼の作品はその独特な色彩とリズム感のある線やフォルムによって、自然の息吹、そして光と音が溢れ出す様な官能的な世界を創り出す。作品はカンヴァスに描かれることもあれば、大きな立像に制作するなど異なることもある。
2016年、日本とベルギーは1866年に外交関係を樹立してから150周年を迎える。この節目を記念して開催される様々な記念事業の一環としてパトリック・ジェロラ展を開催する。絵画作品約40点の他、ブリュッセルのシンボルでもありジェロラの造形制作の起源ともなっているモニュメントの像8体と巨大な小便小僧2点が出品される。会場で躍動感溢れる色彩と空間のハーモニーをお楽しみいただきたい。