河本五郎は1919年(大正8)瀬戸市の伝統染付の家に生まれ、現在の瀬戸窯業高校を卒業後、京都国立陶磁器試験所の伝習生としてクラフト運動で名高い日根野作三の教えを受けました。また画家になりたいという希望を持っていた河本は同時に独立美術協会の須田国太郎画伯から絵の手ほどきを受けています。その後郷里に戻った河本は兵役を終えると、クラフト運動に参加しますが30代の半ばからは、より自由な造形をめざして「五郎調」と呼ばれる手びねり作品を発表します。戦後の実用陶器が中心であった時代に芸術性を求める河本は「反骨の陶芸家」として、オブジェの制作を通じて伝統と現代性を追求し、奔放な色絵を施した数々の名作を生み出しました。
今回はパラミタミュージアムが所蔵する40点を超える作品を中心に展示し、没後30年を迎える鬼才河本五郎の世界を一望します。