新見市周辺は古くから漆の産地として知られ、良質の漆が取れていました。中世、新見は京都・東寺の荘園、「新見庄」として栄え、大量の漆を年貢として納めていたことが、ユネスコ世界記憶遺産に認定された「東寺百合文書」にも記載されています。また、備中漆は質もよく、仏像の修復にも使われたことが記録に残されています。
本展は、備中漆復興20年を記念し、平成26年からはじまった「もっと伝統工芸備中漆展」の第3回展として、備中漆の生産地でもある新見市で開催するものです。
この展覧会では、日本伝統工芸中国支部の漆芸・木工会員を中心に、新見市で活動する漆芸の「地域おこし協力隊」2名も加え、28作家に新見産の漆を提供し作品制作を依頼、新作を中心におよそ60点を一堂に展観します。
20年余りの歳月をかけて、様々な人たちによって育てられてきた「漆」。完成された作品によりその知識を深めてもらうとともに、地域ブランドとして今後どのように活用し全国に発信していくのか、それを問いかける場となれば幸いです。