1617(元和3)年15歳で2代将軍秀忠に仕えた狩野探幽(1602~1674)は、江戸鍛冶橋門外に屋敷を拝領、京都の狩野派に対して「江戸狩野派」を興しました。幕府の用命を受けて江戸城改築のたびに障壁画を担当、徳川家の日光、芝、上野の各霊廟の装飾も手がけました。さらに活躍の範囲は江戸に留まらず、大阪城、二条城、名古屋城、京都御所や大徳寺、妙心寺などの大画面障壁画製作に旺盛な筆力を奮い、狩野派の覇権を独占します。
江戸狩野派の基礎を確立し、幕藩体制における狩野派の地位を不動のものとした探幽の功績は大きく、また、探幽が創始した豪壮な桃山様式にかわる瀟洒な画風は、以後の江戸時代絵画全体に決定的な影響を与えました。
本展では、この江戸期最初にして最大の巨匠、狩野探幽の生誕400年を記念して代表作である大画面障壁画を中心に、さらに新出の山水図や花鳥図、「写生図鑑」など探幽の魅力を伝える多くの作品を加え、その画業の全貌を紹介します。