写真家・英伸三(はなぶさ しんぞう、1936年-)が写した昭和の日本。そこには1960年代から80年代、高度経済成長期の日本社会において、時代に翻弄されながらも発展を求めて懸命に生きる人びとの姿がありました。
農業の傍らではじめた電子部品の内職や都市の建築現場への出稼ぎが、いつしか農業の衰退につながった。「金の卵」と呼ばれた若者たちは、遠く離れた都会での就職のため故郷から去った。日本の高度経済成長期を支えた、ひたむきに働く市井の人びと。英伸三の作品は、目覚ましい経済発展の裏で日々変わりゆく暮らしを捉えています。
昭和の人びとが築き上げた時代の上に、現在の生活があります。ひとつひとつの小さな変化がやがて大きな渦となって時代を変えていった、その変化を写真家としての確かな眼で切り取った作品、約110点を展示します。