中国でさまざまな文化や芸術が花開いた宋時代、陶磁の分野でも各地の窯で個性的な製品が産み出されています。定窯の白磁、龍泉窯の青磁、鈞窯の澱青釉、磁州窯の搔落 (かきおとし) など、アイボリーホワイト、ブルー、グリーン、パウダーブルー、白と黒といった色合いを背景に、美しい文様が刻まれたり描かれたりしました。モンゴル民族の元時代には、景徳鎮窯で青花磁器(日本でいう染付)の完成を迎えます。真っ白い良質な白磁にコバルトブルーの文様が清清しく映える中国の青花磁器は、イスラム圏の貴人たちに愛され、東南アジアから遠くイランやトルコ、エジプトなどへと運ばれてコレクションされました。
本展では、こうした宋時代から元時代までの中国陶磁の展開を館蔵の名品でたどります。