碧南市藤井達吉現代美術館では、このたび「大正の煌めきを求めて―新収蔵作品を中心に―」を開催いたします。作品の継続的な収集は美術館にとって重要な活動のひとつであり、その性格を決定付けるものでもあります。本展はその活動の成果を、藤井達吉が精力的に活動を展開した大正時代を中心に紹介するものです。
当館の収集方針のひとつに「藤井達吉の芸術を顕彰するに重要と思われる作品」があります。ここには藤井本人の作品はもちろんですが、その芸術活動の顕彰という意味合いから、同時代を生きた作家の作品も含まれます。特に大正時代から昭和初期にかけての藤井は、個性的な活動を展開した多くの作家たちと交流が盛んであり、中でも1912(大正元)年に開催された第1回ヒュウザン会展覧会との関わりは重要です。本展ではヒュウザン会出品作家でもある毛利教武、小林徳三郎、川上邦世、萬鉄五郎らの、新たに収蔵された作品をご覧いただきます。あわせて同時代に活躍した河野通勢や鶴田吾郎、近代の展覧会目録等を含む貴重な個人コレクションに含まれる作品なども展示いたします。
また、かつて「彫刻のあるまちづくり」を展開していた当市とはなじみの深い“彫刻”の中で、近年再評価の機運著しい近代彫刻についても、藤井と同時代の芸術動向という視点から積極的に収集を進めており、先にあげた毛利、川上のほか、戸張孤雁の最初期の彫刻作品《猫》がコレクションに加わりました。このほか香月泰男、伊藤 廉、三岸節子、筧 忠治、山田光春、内田土卵、森 眞吾、原 裕治ら近現代の特色ある作家たちの作品が収蔵されています。展覧会を経てお預かりすることとなった山中信天翁、富岡鉄斎の作品等も含め、碧南の新たな財産となった作品をどうぞお楽しみください。